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会社に所属するSE(システムエンジニア)やプログラム開発者は、自社内でシステム構築の仕事をすることもあれば、社外で働くこともあります。社外で働く場合、派遣社員として協力会社の中に入り、その中で働くことになります。

契約形態にもよりますが、派遣先の会社で働く場合勤務時間や勤怠などの労務管理は、派遣先の会社の規則が適用されます。そして、もとの所属会社に行くことはほとんどなく100%近く派遣先の会社で働くことになります。すなわち、実質的に派遣先の会社の社員になるようなものです。

このような派遣SEは、一般的に派遣先の正社員よりも雇用が不安定になると考えられています。派遣契約は、3ヶ月や6ヶ月などの単位となります。いずれにせよ、契約期間満了後に契約を打ち切られたら以後の仕事はなくなります。そのため、SEにとっては派遣先会社が継続して仕事をくれそうかどうかの見極めが大切になります。

そして派遣SEは、ふだん意識することが少ないかもしれませんが契約形態の違いについて知っておくことが必要です。複数のSEが同じ会社に所属しているのに、SEによって契約形態が違うこともあります。また、派遣先で仕事をしていて突然に契約形態の変更したいと打診されることもあるので気をつけなければなりません。

ここでは、派遣SEの契約形態についてと、派遣SEが派遣先から契約形態の変更を打診されるのはどういうときかについてお話ししていきます。ここで述べる内容を理解することで、派遣SEが派遣先企業の経営状況を推測したり、自身の転職時期を見極めたりすることができます。

派遣SEの契約形態には2種類ある

派遣SEが所属する会社は、派遣先の会社からシステム開発などの業務について業務委託契約を締結した上でSEを派遣します。SEの契約形態には、「準委任契約」と「請負契約」があります。

準委任契約とは、委託者(派遣先企業)が、事務を委託する契約です。受託者となる会社は,善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負います。これを、「善管注意義務」と言います。受託者には,仕事完成義務がありません。そのため,成果物に対する瑕疵担保責任を負いません。準委任契約は、要件定義や総合テスト支援フェーズで行われることが多いです。

一方、請負契約は請負人が仕事を完成させ、委託者がそれに対して報酬を支払う契約です。請負人となる会社は,契約の本質的義務として仕事の完成義務を負うことになります。実際の担当者が仕事の途中で働けなくなった場合でも、代理の人や会社がその仕事を終わらせなければなりません。

請負の仕事の結果、目的物に瑕疵があった場合は受託者が瑕疵担保責任を負います。すなわち、不具合があったら修正しなければなりません。とはいうものの、作業完了後永遠に瑕疵担保責任が続くわけではありません。瑕疵担保責任を負う期間は、作業が完了してから1年間のケースが多いです。

システム開発の場合,設計フェーズから結合テストフェーズあたりまでが,請負契約を用いられることが多いです。

準委任契約と請負契約の大きな違いは、「派遣SEに成果物の完成責任があるかないか」になります。成果物の完成責任があるのが請負契約の方です。

業務委託する側にとっては、当然ながら受託者に完成責任を負ってもらう方が都合が良いです。そして、見積もり時の想定とは別に予期しなかった作業により実作業の工数が増えたとしても、受託者の責任になります。委託者は責任を負う必要がありません。したがって、発注側にとってリスクが少ない契約であると言えます。

しかし、請負での業務委託は「作業範囲が明確になっていること」が必要です。これは、作業範囲が明確に定まっていなければ、受託者側が正確な見積もりができないからです。

そして、システム開発プロジェクトなどリスクを含む仕事の見積もりを請負と準委任契約で行った場合、請負の方が高額になることを覚悟しなければなりません。それは、請負の場合受託者側に完成責任や瑕疵担保責任もあるため、見積もりのときにリスクを見込むからです。

準委任契約と請負契約の特徴

準委任契約の一般的な特徴をまとめると、以下のようになります。

  • 見積もり時と業務の内容が変わっても、特に問題になりません。
  • 作業の完成責任がありません。また成果物を伴わなければならないものではありません。
  • 受託者の義務として、進捗報告義務、終了報告義務があります。
  • 作業者は最善の努力を尽くして仕事をすることが求められます。そして、作業者がきちんと仕事をしていることを善良な管理者が常に注意するという義務があります。
  • 瑕疵担保責任がありません。
  • 委託された仕事を実際にやってみたら思っていたより作業量が多く、見積もりの時間より長く働くことになったという場合、受託者は時間超過分の報酬を請求できます。

同様に、請負契約の特徴は次のようになります。

  • 仕事は、「完成」が明確に定義できることが必要です。
  • 受託者には完成責任、瑕疵担保責任があります。
  • 受託者の遂行能力に期待した契約です。特定の個人に対してではありません。すなわち、担当者が退職するなどで業務を進めるのが難しくなった場合でも、その会社の代理の人が後を引き継いで完成させることが必要です。
  • ソフトウェア開発の場合、成果物となるソフトウェアの著作権は、基本的に受託者に帰属します。ただし、発注側に著作権を譲渡する請負契約もあります。

発注者は、派遣SEの業務委託契約を行う際に上記の特徴と実際の業務内容を勘案して契約形態を決めることになります。

派遣先の会社から、契約形態を準委任から請負に変えたいと言われたら

ここで、派遣先の会社が派遣SEの契約形態を変更したいと言い出したとします。このようなときは、発注側会社がなぜ契約形態を変更しようと思ったのか考える必要があります。

派遣SEの仕事ががらっと大きく変わるのであればともかく、仕事が大して変わるわけでもないのに発注側会社が契約形態を変えようとしているなら、気をつけなければなりません。特に、準委任から請負恵沢に変えようとしたら要注意です。ここでは、なぜ派遣先が準委任から請負に変えようとしているかについて考えてみましょう。

派遣と請負の違いは、派遣が「契約期間にしたがって報酬が発生する」のに対して請負は「契約案件にしたがって報酬が発生する」という点です。

派遣先の会社は、業務委託者に業務委託の報酬を支払います。したがって、派遣先の会社にとってみれば、業務受託者に支払う報酬は安い方が良く、自社の利益になります。そのため、発注側は何とか報酬を下げる方法がないかと考えるわけです。

派遣先の会社は、システム開発会社でありお客さまからの受託案件を抱えているのが一般的です。そのような中で、派遣先の受託案件が多い(十分に仕事がある)ならば、一般に派遣契約にメリットがあります

準委任契約であれば、一人のSEに複数の案件を掛け持ちさせることができます。また、受託者に支払う報酬がほぼ定額になるため(SEの残業分を除く)、外注に対する収支が予測しやすいメリットがあります。したがって派遣先の会社は、仕事が多いうちは準委任契約をしてくると考えられるのです。

一方、発注側の案件が少ない状況を考えてみましょう。案件がかなり少ないがゼロではないといった場合に、もし準委任契約でSEを雇用したらどうなるでしょうか。

仕事が少ないのにSEを雇用すれば、SEは時間内に十分に仕事を終えてしまい、あとは時間が余ってしまいます。すなわち、仕事がなくて派遣先の会社で派遣SEが遊んでしまうことになります。これは発注側にとって経費の無駄使いであると言えます。

一方、請負契約であれば契約案件ごとに価格が決まります。SEが効率良く仕事をして早く終えようが、だらだら仕事をして時間がかかろうが(実際には、定められた納期があるためあまり時間をかけてはいられませんが)、発注側が支払う報酬額は変わりません。

請負のSEの仕事が少なくて遊びの時間ができたとしても、発注側は別に仕事を作るなどの気を使う必要がありません。SEの空いた時間をどうするかは、業務受託者側の問題になります。なぜなら、SEが派遣先会社で遊んでいる時間の給料は、受託者(会社)が支払うことになるからです。

一方の受託者は、SEが遊んでいる時間分の報酬を発注側からもらえていません。そのため、受託者はSEが遊びとなる時間を作らないよう、複数の案件を調整するなどしてSEの仕事を作らなければなりません。

発注側が、SEの契約形態を変えようとする意図はこのようなところにあります。すなわち、SEが準委任契約から請負契約に変更したいと言われたら、発注側の方で受託案件が減っている可能性が高いと考えられます。基本的に、発注側が業務委託の案件を継続的に持っていないと考えて良いでしょう

そしてこのまま案件が少ない状況が続けば、将来的にはSEの派遣先での仕事がなくなるか、もしくは非常に少なくなってSEの雇用が危うくなるかもしれないのです。

仕事がなくなりそうだと思ったら転職も視野に入れる

今、派遣SEとして働いていて派遣先で今の仕事が非常に少なくなったり、なくなったりしたときのことを考えたことがある人はいらっしゃるでしょうか。先に述べたように、派遣SEは派遣先の正社員に比べてどうしても雇用が不安定になります。会社の業績が悪化するなどの理由で、いつでも契約終了されてしまうというリスクにさらされます。

そのため、契約変更の打診があった時点で何らかの手を打っておいた方が良いでしょう。将来の不安を消すために何かの行動を起こすのです。その場合に、最も多くの人が取る道と思われるのは転職です。

転職の場合、転職先をどうするか悩みどころです。転職先を決めるためには、一人で悩むのではなく転職エージェントに登録してみるのが良いと思います。転職エージェントのキャリアコンサルタントに聞けば、あなたのスキルに応じた転職先の相談に乗ってくれるでしょう。

このように、派遣SEの契約形態には準委任契約と請負契約があります。準委任契約は労働時間に対する契約になるのに対し、請負契約は案件に対する契約になります。

そして、SEが準委任契約で仕事をしていて派遣先から請負契約に変更したいと打診された場合、この先の仕事量が少ない可能性があります。そのため、そのような打診をされたSEは今後の仕事量を冷静に見極めるところから始めましょう。場合によっては、転職も視野に入れて行動した方が良いと思われます。