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情報システムを会社の業務で使う場合、そのシステムは「顧客との取引に関する情報」や「顧客の個人情報」などのデータを扱います。これらのデータは、会社がビジネスを続ける上で大変重要な情報となるものです。

しかし、コンピューターによってこれらのデータを取り扱う場合、潜在的リスクとして「データの消失」が挙げられます。データ消失の原因は、自然災害や不慮の事故(パソコンやUSBメモリーを紛失するなど)などの他、作業したエンジニアの誤操作もあります。このように、データ消失の原因はさまざまです。

万が一、システム稼働後にデータ消失が起こってしまうと、ビジネスへの被害は甚大なものになります。したがって、システムを動かす間は必ず「バックアップ」も含めて考えなければなりません。

バックアップとは、本データとは別にその複製を作っておくものです。データのトラブルが起こったときは、バックアップがあればそれを戻すことにより、バックアップを取得した時点のデータを元に戻すことができます。このデータを元に戻す作業のことを、「リストア」といいます。

ここでは、データバックアップの基礎知識とバックアップの作成方法についてお話ししていきます。ここで得た知識を活用することによって、業務システムにおけるバックアップの仕組みを構築できるようになります。

バックアップ対象の抽出と作成計画

データのバックアップを作成する場合、初めに「バックアップする対象のデータ」と「作成計画」を決めましょう。要するに、「何をバックアップするか」と「バックアップの頻度」を決めるのです。

バックアップ対象としては、業務システムでは文書・画像・動画のようなファイルや、データベースの内容になります。バックアップの頻度は、例えば「毎日」「一週間に一度」といった具合です。このとき、バックアップ対象と頻度はセットで考えなければなりません。

なぜなら、バックアップ対象の容量の大きさによって取れるバックアップの頻度が決まってくるからです。例えば、画像や動画などのファイル群は、数が増えてくると容量が大変大きくなります。

このとき、累積の容量が数百GB(ギガバイト)や数TB(テラバイト)に達することも珍しくありません。そのような場合、ファイル群のバックアップを毎日すべて一度に取得しようとすると、バックアップ時間が長くかかりすぎてしまいます。

そのため、バックアップの時間帯を21時から朝3時までに計画したとして「一日分のバックアップが時間内に終わらないものを毎日実施する」というスケジュールを立てても意味がありません。

そこで、バックアップ対象を分割してそれらを別々に計画するようにします。または、後に述べる「差分」「増分」によるバックアップも有効です。

バックアップは大量のデータの転送が行われるため、コンピューターにとって比較的負担が重い処理です。したがって、バックアップは業務時間外に行うのが普通です。例えば、「平日は夜間21時から翌3時までに行う」といった具合です。

データベースのバックアップについては、データベースソフトウェアごとに専用のツールがありますのでそれを使うようにします。

バックアップ取得方法の種類と使い分け

バックアップには、大きく分けて「フルバックアップ」「差分バックアップ」「増分バックアップ」の3種類があります。それぞれの方法について特徴を見ていきましょう。

・フルバックアップ

対象となるデータ全体をバックアップするものです。バックアップにかかる時間は最大ですが、リストアに要する時間は最小になります。基本的には、フルバックアップを主体に計画するのが望ましいです。

・差分バックアップ

前回のフルバックアップ時点以降に発生したデータの差分をバックアップするものです。バックアップに要する時間が前回のフルバックアップ以降の分に限られるため、フルバックアップに比べて時間を短縮できます。リストアには、前回のフルバックアップ+最新の差分バックアップの2回分が必要です。

・増分バックアップ

前回のバックアップからの増分のみをバックアップするものです。毎日実行するならば、バックアップは1日分のみになります。バックアップに要する時間は最小限で済みますが、リストアは過去の1日ごとのバックアップデータすべてを用いなければなりません。そのため、リストアに要する時間は最大になります。

このように、バックアップは対象データの容量や作成計画、種々の取得方法を組み合わせて行う必要があります。どんなデータにも万能に通用するバックアップ方式はありません。

そのため、バックアップの設計にはバックアップのデータの重要性や、復旧までに許容される時間、実現するためのコストなどさまざまな制約条件を加味したバランス感覚を持つことが大切です。ここに述べた基礎知識を生かして、現場の状況に合ったバックアップを設計していきましょう。