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会社の情報システム管理者は、職員が使うパソコンの管理を行います。そしてパソコンが何十台と増えていくと、そのメンテナンスに要する手間も増加します。パソコンの管理に手間がかかる理由として、個々のパソコンのデータがパソコンごとの補助記憶装置(ハードディスクなど)の中に保存されてしまうことがあります

個々のパソコンに保存されたデータが大きければ大きいほど、そのパソコンが壊れたときの復旧作業には多くの手間と時間がかかります。

例えば、パソコンのデータが会社のサーバーに保存されているとします。このときパソコンが壊れても、そのパソコンを交換してネットワークに接続すれば、すぐに使えるようになります。このような発想でパソコン管理を簡略化するのが、デスクトップ仮想化の技術です。

ここでは、「デスクトップ仮想化の技術」と「デスクトップ仮想化の導入に伴うメリット・デメリット」についてお話しします。ここで述べる内容を理解することにより、職員のパソコン管理の簡略化や自社の情報システム設計の仕事などに役立てることができます。

デスクトップ仮想化とは

デスクトップ仮想化とは、パソコンのデスクトップ(操作環境)のデータをサーバーに置く技術です。「VDI(Virtual Desktop Infrastructure)」、「クライアント仮想化」とも呼ばれます。

パソコンは、サーバーにネットワークでアクセスしながらデスクトップを表示します。パソコンのキーボードやマウスは普通のデスクトップと同じように使用できます。普通のデスクトップとの違いは、ユーザーが使っているうちはほとんど感じることがありません。その一方で、「データの保存がサーバーに対して行われる点」が異なります。

デスクトップ仮想化により、会社内のどこからでもパソコンを使って各自のデスクトップで作業ができるようになります。会社外から会社内のネットワークに接続する環境があれば、例えば自宅のパソコンやタブレットなどの機器からでも会社の作業が可能になります。

会社外から会社内へのネットワークアクセスを行ったときに問題になるのは、顧客の個人情報を扱う作業を行ったときに個人情報がネットワークに流れることです。第三者がネットワークに流れる個人情報を検出した場合、個人情報が漏えいして重大なセキュリティの事故に結びつく可能性があります。

しかしデスクトップ仮想化でネットワークに流れる情報は、デスクトップの画面表示の情報だけです。パソコンのユーザーが個人情報を参照しても、個人情報がネットワークに流れることはありません。そのため、デスクトップ仮想化では個人情報漏えいなどのセキュリティリスクはありません

デスクトップ仮想化を実現するソフトウェア製品には、シトリックス社の「Citrix XenDesktop」などがあります。

デスクトップ仮想化のメリットとデメリット

デスクトップ仮想化に伴うメリットは、次の通りです。

  • ネットワークのどこからでも使い慣れたデスクトップで作業ができる
  • パソコン以外のシンクライアント(必要最小限の機能を持つ端末)やタブレット、スマートフォンといったデバイスを使うこともできるデータがパソコンに残らない
  • 比較的低スペックのパソコンでも使用可能 → パソコンのコストを抑えることができる
  • デスクトップ環境の追加、削除またはコピーといった作業が比較的簡単に行える → システム管理者に大きなメリットがある

いずれも、パソコンの集中管理を行うために優れた特徴です。一方、デスクトップ仮想化のデメリットは次の通りです。

  • パソコンからネットワークにアクセスできる環境がないと使えない
  • デスクトップ仮想化のサーバーが故障したときの被害が大きい。そのため、サーバーの多重化などの考慮が必要
  • パソコンの性能を生かすような用途(複雑な計算や3D画像処理など)には不適当

このように、デスクトップ仮想化の技術を使うことによって自社のパソコン管理の簡略化を行うことができます。またデスクトップ仮想化は、パソコン管理だけでなく会社の情報システムにも使うことができる技術です。そのため、この基礎知識を持つことにより、会社の情報システム設計の仕事にも役立てることができます。