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磁気テープとは、磁性体をテープに塗った記憶媒体(メディア)のことです。磁気テープは、パソコン用の保存メディアとしてはほとんど用いられていません。そのため、磁気テープは一昔前のメディアではないかとの認識を持たれるかもしれません。

しかし実際には、現在も磁気テープは進化しており、大容量化と高速化が試みられています。その結果、磁気テープはサーバー用のバックアップメディアとして欠かすことのできない存在になっています。ちなみに、大容量の磁気テープを作る技術は、日本が進んでいます。

ここでは、記憶媒体としての磁気テープの特徴と、LTO規格についてお話していきます。ここで述べる内容を理解することで、サーバー上のデータのバックアップなど、磁気テープの特徴を生かしたシステムの設計が行えるようになります。

記憶媒体としての磁気テープの特徴

磁気テープにおけるデータの読み書きは、磁気テープ装置が細長いテープを巻き取りながら行います。そのため磁気テープは、データの連続的な読み書き(シーケンシャルアクセス)の性能に優れています。

その一方で、テープのあちこちに断片的に書かれたデータの読み書き(ランダムアクセス)には磁気テープは向きません。この点が、ランダム・アクセスにも使用できるハードディスクなどと異なるところです。

シーケンシャルアクセスの性能は、例えばLTO-6というメディアの理論値だと160MB/sec(非圧縮時)です。このことは、代表的なSATA規格のハードディスクにおけるシーケンシャルアクセス性能110MB/secよりも高速であることを示しています。

すなわち、シーケンシャルアクセス速度については、磁気テープがハードディスクを上回ることがあるのです

その他にも磁気テープには特徴があります。それは、保存容量あたりの価格が比較的安いことと、データの長期保存に優れていることです。LTO-6のデータ保存期間は、推定30年と言われています。これだけの保存期間を有する記憶装置は、他にほとんどありません。

データの長期保存用のメディアとしては、他にもCD-R、DVD-R、BD-Rといった光学メディアやフラッシュメモリー、またはハードディスクといったものがあります。しかし磁気テープは、その中で最もデータ保存の信頼性が高いです。

これらの特徴から、磁気テープはサーバーなどに保存された大容量のデータのバックアップに用いられます

磁気テープを長時間使っていると、磁気テープ装置(ドライブ)の読み書きヘッドが汚れます。そのため、磁気テープ装置は定期的にヘッドのクリーニングを必要とします。ヘッドのクリーニングを行うには、「クリーニングテープ」を使います。

クリーニングテープは、使うたびにヘッドを研磨します。そのため、クリーニングテープの使いすぎは良くありません。

LTO(Linear Tape Open)規格と保存容量

磁気テープは、コンピューターの黎明期からさまざまなものが使われてきました。しかし、サーバーのデータ保存に使われる磁気テープの規格は、ほぼ「LTO」に一本化されました。

LTOは、IBM社、Hewlett-Packard社、Seagate Technology社の3社が共同で策定した磁気テープの規格です。その中で、とくに大容量を指向した「LTO Ultrium」(ウルトリウム)という規格が製品化されています。

メディア1本当たりの保存容量は、LTOの世代によって異なります。例えば第6世代のLTO-6は、非圧縮時2.5TB、圧縮時6.25TBの容量を持ちます。2.5TBというと、DVD-R(4.7GB) 532枚分、BD-R(25GB) 100枚分に相当する量です。これだけの容量のデータが、外形寸法102.0 × 105.4 × 21.5 (mm)のLTO-6メディアに入ることになります。

このことから、磁気テープメディアの保存容量は、DVD-RやBD-Rなどの光学メディアに比べて圧倒的に大きいことがわかります。

このように、磁気テープはサーバーのデータバックアップ用として優れた特徴を持っています。磁気テープの特徴とLTO規格の概要を理解することにより、システムにおけるデータバックアップなどの設計に役立てることができます。