-shared-img-thumb-0I9A111415030157cyotto_TP_V

現代のコンピューターは、インターネットをはじめとするネットワークでお互いを接続して使うことが基本になっています。それでは、コンピューターはなぜ大容量のデータのやりとりを寸分の誤りもなく行うことができるのでしょうか?

コンピューターのデータ通信のモデルは、1970年代より策定された「OSI基本参照モデル」に集約されています。40年も前に策定されたモデルが、現代のコンピューターネットワークの基礎になっています。

1970年代から現在にかけて、データ通信における主な通信手段はシリアル通信からイーサネット、近年では無線LANに変わってきました。しかし、データ通信の基本はすべてOSI基本参照モデルにもとづいて説明することができます

そして、今後もおそらくコンピューターネットワークの基本的な考え方が変わることはないでしょう。このことは、ある意味驚嘆すべきことです。

ここでは、OSI基本参照モデルの考え方についてお話ししていきます。ここで述べる内容を理解することで、コンピューターを使ったデータ通信の基礎を学べるとともに、その知識を情報システムにおけるネットワーク設計に役立てることができます。

OSI基本参照モデルとは

OSI基本参照モデルとは、データ通信機能を7つの階層(レイヤー:Layer)構造に分割したモデルです。1977年より、OSI(Open Systems Interconnection)というネットワーク標準規格の策定が行われる中で生まれました。

現在使われているネットワーク機器やネットワークプロトコル(通信規約)は、すべてOSI基本参照モデルの中で説明することができます。これらのネットワーク機器やプロトコルは、必ずしもOSI基本参照モデルに準拠して開発されたわけではありません。しかし、現実の用途はOSI基本参照モデルにもとづいて説明できるという意味です。

最近、ネットワーク機器やプロトコルの数が大変多くなっています。しかし、それらの機能を理解するために、それらがOSI基本参照モデルのどのレイヤーに属しているかを意識することがとても重要になります。

それでは、OSI基本参照モデルのレイヤー構成を見ていきましょう。

OSI基本参照モデルのレイヤー構成

第1層:物理層

物理的な接続を規定します。ネットワークケーブルのコネクタの形状やピンの数の規定などです。

第2層:データリンク層

直接的に接続された通信機器間の信号のやり取りを規定します。

第3層:ネットワーク層

ネットワークにおける通信経路の選択(ルーティング)を規定します。

第4層:トランスポート層

ネットワークの端から端までの通信管理(エラー訂正、再送制御、配送順序の保証等)を規定します。

第5層:セッション層

通信プログラム間の通信の開始から終了までの手順(接続が途切れた場合の再送など)を規定します

第6層:プレゼンテーション層

データの表現方法を規定します。

第7層:アプリケーション層

具体的な通信サービスを規定します。

ネットワーク機器やプロトコルをOSI基本参照モデルに当てはめる

身近なネットワーク機器やネットワークプロトコルを、OSI基本参照モデルに当てはめてみましょう。

例えば、短いネットワークケーブルを延長する目的で使用するハブ(リピーター、またはばかハブと呼ばれます)は、第1層に属します。

ネットワークポート(ネットワーク接続の口)を増設するために使用する「スイッチングハブ」は、第2層に属します。スイッチングハブは、別名「L2(エルツー)スイッチ」とも呼ばれます。L2とは、もちろんレイヤー2に属することを示しています。

家庭でパソコンをインターネットと接続するために「ルーター」という機器を使うことがあります。ルーターは、第3層に属します。ルーターは、「L3(エルスリー)スイッチ」または「レイヤー3(スリー)スイッチ」とも呼ばれます。つまり、第3層を意味する言葉です。

第4層から上位の層は、ソフトウェアで実装されるプロトコルを表します。

インターネットプロトコルの「TCP」「UDP」は、ともに第4層に属します。ここで通信データの誤り訂正や再送制御などが行われ、信頼性の高い通信を行うことができます。

データ通信は、一連の通信ごとに「セッション」という単位で扱われます。セッションの開始、終了や通信が途切れた場合の再送の機構は、第5層で規定されます。

データ通信においては、文字コードの変換やデータ圧縮、または暗号化といった技術を用いることがあります。その処理を行うのが第6層です。

通信サービスに用いられるプロトコルには、Webサービスで用いる「HTTP」、Eメールを配信するサービスで用いる「SMTP」、ファイル転送サービスで用いる「FTP」などがあります。これらのプロトコルは、第7層に属します。

このように、OSI基本参照モデルは近代的なデータ通信の基礎となっています。そのため、OSI基本参照モデルを理解しておくことはとても重要です。

情報システムの設計では、さまざまなネットワーク機器やプロトコルを使用します。また、OSI基本参照モデルに関する基礎知識を持つことで、使用するネットワーク機器やプロトコルの機能の理解に役立てることができます。