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どこの会社にも、陰で「評論家」とか「先生」などと言われている社員がいると思います。実際に評論活動やセミナー講師をしているような人のことではなく、「やたらと他人の仕事を批判したり、相談されてもいないのに上から目線で他人に教えるのが好きな人」のことです。ここでは、そのような人を統一して「社内評論家」と呼ぶことにします。

社内評論家は、とかく他人のやったことを批判したり嘲笑したりすることを好みます。人の仕事の成果をさんざんけなしたあと、最後に「そんなことは、やっちゃだめに決まっている」「自分なら、このようなことは決してしない」「このような失敗を二度と起こさないために、あらゆる手段を講じるべきだ」などと声高に主張するのです。

システム開発会社にも、やはり社内評論家がいるものです。普通の人は、「そんなに良い意見を持っているなら、あなたが自分でシステムを作ればいいのに」と思ってしまいます。しかし社内評論家の人は、決してお客さまの満足が得られるような良いシステムを作ることができません。

ここでは、社内評論家と呼ばれる人が良いシステムを作ることができない理由についてお話ししていきます。ここで述べる内容を理解することで、システム構築担当者が社内評論家でいてはいけない理由、および社内評論家をうまく利用してあなたが良いシステムを構築するにはどうしたら良いかを学ぶことができます。

社内評論家の発言は、限定的な立場での正論に過ぎない

社内評論家と言われる人は、どのような性格の人でしょうか。思いつくままに挙げてみると、次のようになります。「優秀「切れ者」「正論を言う」「話が論理的」「すきがない」「話が長い」「話を聞いた人は、反論ができない」……

事実、社内評論家はいつも正論を言っています。そして、その人の発言は組織内で常に一目置かれます。そしてその正論は、本当に正しい意見で前後の話との矛盾がないのです。そのため、話を聞いた人から反論が出ることはまずありません。

そして社内評論家は、公衆の場で失敗をしません。ルールを忠実に守りますし、自ら組織のルールを作ろうとする人でもあります。

しかし、そのような社内評論家を観察していると気づくことがあります。それは、決して自分自身でシステムを開発しないことです。そして、普段から主張している正論を実現したシステムがどこにもないのです。

そしておそらく、社内評論家は会社からシステム開発を任されることがないでしょう。それどころか、仮に会社から仕事を打診されても全力で断ろうとするものです。すなわち社内評論家とは、言い換えれば「決して自分ではシステムを作ることができない人」なのです。

社内評論家がそのようになってしまう理由は、何でしょうか。それは正論が、一部の部門業務など影響範囲が限定された中でしか通用しないものだからです。

実際の会社の業務やシステムは、一部門の論理が通用するほど単純ではありません。複数の業務部門を横断するようなシステムを構築する場合、「この仕事はどちらの部門がやるのか」といった人間同士のせめぎ合いが必ず起こります。

そのようなせめぎ合いは、人間同士の意見がぶつかり合って起こるものです。いったんそのような人間のせめぎ合いが始まると、一部門の正論が他部門には通用しないことがわかります。社内評論家の得意な正論が通用しないのです。すなわち、全員が納得する正論がどこにも存在しない状態で議論をしなければならないのです。

そしてそのような中で、情報システム担当者(システムエンジニアやプロジェクトマネージャー)はシステム構築の仕事を進めて行かなければなりません。社内評論家でいてはシステムを構築できない理由が、ここにあります。

社内評論家の意見はいったん受け止め、自分で最終判断を下す

そうはいっても、あなたが情報システム担当者であったときに社内評論家の意見が役に立つこともあります。あなたが気づかなかったり見落としたりしていたシステムの問題点を、社内評論家が気づいて指摘してくれるかもしれないのです。

つまり、社内評論家の言うとおりにしていてもシステムを作ることができないかもしれませんが、さまざまな人の視点や考え方は参考になります。そしてシステム構築に関する最終的な判断は、さまざまな人の視点を考慮した上であなたが下せば良いのです。

このように、社内評論家と言われる人は他人の批判をすることが得意ですが自分でシステムを構築することはありません。しかし社内評論家の言う正論が、時にはシステムを構築する上で役に立つ視点や意見になることもあります。

したがって、あなたが情報システムの構築を行うならば「さまざまな人の意見をいったん受け止め、最終的には自分で判断を下す」といった仕事の進め方が重要になります。