N825_kouyoutojyosei_TP_V-2

社会人には、色々な性格の人がいます。そして、システムエンジニア(SE)の世界も同じです。SEの中には、いつでも人当たりが良くて面倒見の良い人もいればそうでない人もいます。しかし、SEを長く続けている人でいわゆる「いい人」はいないようです。すなわち、「いい人」はSEに向かないと考えられるのです。

ここでは、「いい人」はSEに向かないと考える理由についてお話ししていきます。ここで述べる内容を理解することで、SEが長く仕事をしていく上で気をつけるべき点について学ぶことができます。

いい人は他人に利用される

一般的に、「いい人」とはどのような人のことを言うのでしょうか。「人当たりが良くさわやかである」「いつもにこやかにしていて他人の面倒見が良い」「仕事の分からないところを質問するといつも親切に教えてくれる」「他人からの仕事の依頼を決して断らない」……など、他人から見て印象の良い人のことを指すと思われます。

SEは、コンピューターシステムを設計開発してお客さまに納品するという仕事をします。したがって、最終的にお客さまを相手にする一種のサービス業であると言えます。そのためSEの性格は、悪いよりも良い方がお客さまの受けが良くなりそうに思えます。

しかしSEの仕事をしていていつも「いい人」でいると、たいていの場合行き詰まってしまいます。そのことで、結局はお客さまに迷惑がかかることもあります。その理由は、「いい人」というのは「他人にとって都合の良い人」であるからです。端的に言うと、そのような人は他人に利用されてしまいやがて仕事が続かなくなるのです。

SEがお客さまにとっていい人になることの2つの問題点

例えば、あるSEが自分が担当するお客さまに対して常に「いい人」であり続けようと決意したとします。そうすると、そのSEはお客さまからメールの質問が来たら何をおいてもすぐに返信してあげようとするはずです。

また、お客さまからシステムへの機能改善の依頼が来たら、すぐにお客さまのもとに駆けつけて要望を聞き入れるでしょう。そしてソフトウェア改修が必要になったとしても、無料または格安の費用で要望に対応しようとするでしょう。

お客さまは、そのような姿勢を見せてくれるSEにとても感謝すると思います。そして、SEとお客さまの間で強い信頼関係が構築されます。そのこと自体は、とても良いことであると言えます。しかしこのような形でSEがお客さまにとっていい人になることは、あとでさまざまな問題に発展しがちであることに注意しなければなりません。

第一に、お客さまの機能改善要望はたいてい次々と新しいものが生まれていってどんどんエスカレートしてしまうものです。一度お客さまの要望に無料で対応してあげると、次はあれもこれもと要望が増えがちです。

場合によっては、「以前はこのように要望したけれども、やはり考え直してみたら以前の方が良かった」となっていったん行った改造を元に戻すこともあります。

このような状況に陥ると、やがてSEの作業が発散します。そして、いつまでも作業が終わらなくなるかもしれません。作業が終わらないということは、SEの所属する会社にとって人件費がかさむことになります。そして、お客さまにとってはいつまでもシステムが未完成のまま続くことになります。

つまり、SEは「どこまでもいい人」であってはならないのです。有名な格言に、「親しい相手に靴をプレゼントするのは良いが、靴ひもは贈った相手自身で結ばせるべきだ」というものがあります。SEは、お客さまにサービスする範囲をきちんと意識することが必要なのです

第二に、次々に発生する機能改善要望に対応していくことで、特定のSEの時間がどんどん奪われていって他の仕事ができなくなることです。このことは、SEにとってさまざまな仕事を経験するという機会の損失になります。

そして、一人のSEががんばればがんばるほど、やがて他のSEでは詳細がわからなくなってそのお客さまを担当することができなくなるという問題にもつながります。一度この状況になると、そのSEが仕事に行き詰まるまで続きます。このようなことにならないように、SEのマネージャーはSEの仕事を適切に割り振ることが必要です。

いい人は便利屋にされて終わる

結局のところ、SEが「いい人」になると単なる「便利屋」にされてしまいます。いったん便利屋にされると、SEの所属会社とお客さまの契約関係が終わるまでの間、ずっと便利屋でいなければなりません。こうなれば、やがてSEの意欲が失われるでしょう。そして、SEが体をこわしたり退職せざるをえなくなったりしてしまうのです。

このように、単なる「いい人」はSEに向かないと考えられます。「いい人」はお客さまとの関係を構築するにはとても良いのですが、実際のシステム構築や改善の作業を行うときは単なる「いい人」になってはいけません。ビジネス上の契約に基づく作業範囲を正しく意識すべきです。

つまり、SEが単なる便利屋にならないようにするためには、契約範囲外の過剰なサービスを行わないように気をつけなければなりません。