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情報システムの構築には、構築作業の規模に応じた費用がかかります。費用の内訳は、通常「固定費」と「変動費」に分けられます。固定費は、規模に関係なく固定でかかる費用です。その一方、変動費は規模に応じて変わる費用です。

情報システムを構築するプロジェクトでは、プロジェクト予算の管理が当然必要になります。そして、プロジェクトの利益を確実に出すためには変動費の削減が一つのポイントになります。なぜなら、変動費が大きくぶれることによりプロジェクトの採算が大幅に悪化するリスクがあるからです。

ここでは、プロジェクトの変動費を削減し最小限に抑えるための方法についてお話ししていきます。ここで述べる内容を理解することにより、プロジェクトマネージャーとしての採算管理のスキルを向上させることができます。さらに、そのことによってあなたのプロジェクトマネージャーとしての評価を上げることにもつながるでしょう

プロジェクト費用のうち、最も変動が大きいのは人件費である

プロジェクトでかかる費用は、どのようなものがあるでしょうか。分類の仕方によって若干変わりますが、一般的には次の5つに分けられます。

  1. 材料費(ハードウェアや市販ソフト、書籍などの調達費用)
  2. プログラム開発費(プログラマーがソフトウェアのプログラムを開発する費用)
  3. エンジニアリング費(システムエンジニアがシステム構築作業を行う費用)
  4. プロジェクト管理費(プロジェクトを管理するのにかかる間接的な費用)
  5. 出張や社内作業の必要経費、その他

これらの中で、システムの規模やプロジェクトの進め方によって大きく変わるのは「2. プログラム開発費」と「3. エンジニアリング費」です。

これらはともに、プログラム開発やシステム設計作業などの「人件費」が主な費用となります。人件費は、人月(一人が一ヶ月の作業を行ったときの費用)単位で計算します。人件費は、一人月当たり40万円から100万円以上にもおよびます。このように、人件費は一般に高額になるためプロジェクト費用の削減に「人件費削減」は欠かせない要素となります。

人件費は、通常「固定費」+「変動費」で表されます。そして、固定費と変動費の割合は「雇用形態」すなわち「プロパー社員」(正社員)と「サポートスタッフ」(協力会社の社員や派遣社員など)で異なってきます。プロパー社員であれば、作業の大小にかかわらず雇用のための費用がかかります。そのため、固定費の割合が高いです。そしてサポートスタッフの場合は、作業量に応じた変動費の割合が大きくなります。

また、人件費は社員の作業時間によっても変わるものです。スキルや能力のある社員は、早く正確に多くの仕事を進められるため作業時間が短くなります。このように、人件費は「雇用形態」「スキルや能力」によって変わります。そのため、人件費における変動費を抑えるためには「雇用形態」や「スキルや能力」を変えることが有効であると考えられるのです。

協力会社に請負契約で作業委託する

変動費削減の一つの施策として、ソフトウェア開発やエンジニアリングの作業を外部の協力会社に「請負契約」で作業委託することがあります。請負契約とは、例えば「プロジェクトにおけるエンジニアリング作業一式」のように一つの「ワーク」を固定金額で作業委託する契約のことです。

これによって、契約範囲の作業はすべて固定費に変わり、変動費がゼロになります。この施策は、変動費圧縮に即効性があります。欠点は、契約範囲を定めるワークを「誤解なく、請負依頼元と依頼先の両者で合意する」のが難しいことです。また、そのワークに適切な依頼先を選定する作業も一般に難しいことが多いです。

変動費圧縮には、メンバー教育が最も合理的な投資になる

プロジェクトメンバーの教育によってスキルや能力を向上させることも、変動費削減に極めて有効です。そして、プロジェクトメンバーの能力が上がればそれは会社の「資産」になります。会社が永続的にさまざまなプロジェクトをこなして売り上げを出していくために、スキルや能力を持つ社員を多く育てていかなければなりません。すなわち、「メンバー教育が、変動費圧縮の決め手となる」と考えられるのです。

人の教育は、時間もお金もかかるものです。しかし、教育によってメンバーが育てばそれがプロジェクトの変動費を抑えて利益を改善するのです。そして、そのことは今後の会社の発展につながる資産にもなるのです。そのため、「社員教育が、プロジェクトの変動費削減の目的に最も合理的な投資である」と考えられます。

このように、プロジェクトにおいて最も変動費が大きくなるのは人件費であると考えられます。人件費における変動費を削減するには、「作業の請負化」と「メンバー教育」が有効です。そして、メンバー教育はプロジェクト変動費削減のために大変合理的な投資になることを理解しておきましょう。