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情報システム開発においては、新規にシステムを導入する案件ばかりでなく、既存システムを新しく更新する「システムリプレース」の案件もあります。最近は、システム導入から時間が経過し機器(ハードウェア)が老朽化したことに伴うシステムリプレースの案件が増えています。

システムリプレースは、既存システムを構築した人が担当するとは限りません。以前とは別の人が引き継いで担当する場合も多いです。もしあなたが、他人が構築したシステムのリプレースを担当することになったら、どのように仕事を進めたら良いでしょうか?

ここでは、既存システムのリプレースを担当することになった場合のプロジェクトの進め方についてお話しします。ここに書いている内容を理解することで、システムリプレースのプロジェクトを失敗なくスムーズに進めることができるようになります。

システムリプレースと新規導入の違い

システムリプレースにおける開発工程は、次の点で新規導入と異なる工程が必要になります。

  • 既存システムの機能を洗い出す
  • 現行の環境を新しい構成に再構築し、動作テストを行う
  • 既存データを新システムへ移行する

以下に、各々の工程について説明します。

既存システムの機能を洗い出す

まず、リプレースする既存システムの機能洗い出しを行います。過去のプロジェクト資料やその改訂版など、あらゆる手段を使って情報を集めるようにします。ただし、闇雲に情報を集めるのは時間の無駄になります。あくまで、情報を集める目的がシステムリプレースであることを見失わないようにします。

それはどういうことかというと、例えば過去のアプリやドキュメントなどの資産の中には、過去のプロジェクトでいったん作ったけれども後で使われなくなったものがあるかもしれません。現行のシステム以外の古い情報は、集めることでかえって頭が混乱し、現行の機能を理解する妨げになることがあります。

そのため、過去の情報の中からリプレースの目的に外れたものについては集める対象から除外することが必要です。本来であれば、システムの仕様書はシステムの機能改訂に伴い仕様書の方も内容が同じになるように改訂されるべきです。しかし現実には、仕様書が実際のシステムの改訂に追いついていないケースもよくあります

現行で稼働しているアプリや設定は、基本的にすべて引き継ぐようにします。他人の作ったシステムの中には、用途不明のアプリが動作しているなど色々なケースが考えられます。ただ、あくまでも仕様書の内容よりも稼働中のアプリや設定が一番確かな情報です。

また、現行のシステム保守担当者や過去の開発担当者に連絡が取れる場合は、時間を取ってもらってリプレースにあたってのアドバイスをもらうようにしましょう。

リプレースするシステムが他システムとの連携を行っている場合、リプレース後もその連携仕様が変わらないようにします。もし連携仕様が変わってしまうと、システムをリプレースした途端に他システムとの連携がとれなくなります。その結果、システムトラブルとなりますので注意が必要です。

現行の動作環境を新しい環境で動作テストを行う

システムリプレースにおいては、新たなアプリを開発する作業よりも、新システムでアプリの動作テストを行う作業が主体になります。現行のシステムを動かしながらの動作テストになりますので、綿密な計画を立てることが重要になります。

また、他システムと連携している場合、その連携先のシステムの担当者に連絡して共同で動作テストを行うようにしましょう。動作テストのスケジュールは、リプレースのプロジェクトで調整します。他社の担当者に作業依頼する場合、基本的には連携先の会社ごとに作業立ち会いの費用が発生します。その場合、作業費用をどこの会社が負担するのかを事前に決めておく必要があります。

さらに、現地で新システムの動作テストを行うときは、テストを行うべき新システムと現行のシステムを作業中に取り違えることのないようにします。テストを実施するために新システムのデータを修正するつもりが、誤って稼働中の現行システムのデータを修正してしまうようなことが起こるからです。

このような作業ミスは、普通には考えられないかもしれませんが実際の作業現場ではよく起きています。こうした作業ミスをなくすためには、作業手順書を作るようにする必要があります。実際の作業前に第三者がその作業手順書をチェックし、その手順に従っていれば作業取り違えが起こらないことを確認するのです。

もしあなたが現地作業を監督する立場ならば、作業の担当者に手順書を作成させるようにしましょう。

既存データを新システムに移行する

システムリプレースでは、既存データを新システムに移行する作業があります。このときは、初めに移行するデータの内容を確認しその後で移行スケジュールを作成します。

データ移行に必要な期間は、移行するデータ量によって大きく異なります。大きい画像や動画ファイルのようなものを扱っている場合、移行に何ヶ月もかかることがあります。その場合、早期に新システムを構築しデータ移行を始めるなどの対策が必要になってきます。移行に要する期間は、システム開発会社の経験によっても変わることを理解しておきましょう。

なお、事前に「新システムへの切り替え時点で現行システムの何パーセントのデータが移行済みになるのか」と「完全に移行完了する予定日」について担当者と認識を合わせておくようにする必要があります。

このように、システムリプレースにおいてはシステムを新規に導入するケースとは異なる作業が発生します。特に他システムとの連携や大量のデータ移行がある場合に、事前の計画が重要です。ここで述べたように、あらかじめ計画を立て正しい手順でシステムリプレースを進めることがプロジェクトを成功させるポイントになります。