IMARI20160806165917_TP_V-2

システム開発の受託ビジネスの利益率は、一般的に低いと言われています。高度な専門知識を持つシステムエンジニア(以降、SEと記述します)やアプリ開発者を確保しているのに、ビジネスの利益率が低いというのは皮肉なものです。

システム開発ビジネスを存続させていくために、システム開発会社(以降、ベンダーと記述します)は顧客に高いサービスレベルを維持しながら同時に利益を出して行かなければなりません。

ここでは、システム開発の利益率が一般的に低い理由と利益率を上げるための方策についてお話ししていきます。ここで述べる内容を理解し実践することで、システム開発のビジネスにおいて利益を改善していくことができるようになります。

システム開発ビジネスの利益率が低い理由

昨今のシステム開発において、利益率が下がっている理由は2つあります。

1つ目は、「システム価格が、製造原価の見積もりをベースに決められている」ことです。システム価格は、見積り段階においてアプリの開発(新規または改造分)にかかる工数やSEの作業工数といった製造原価(予想)をベースに決められます。

そしてシステムの製造原価は、基本的に作業が必要と想定される項目の積み上げで算出されます。ここで、複雑なシステムの見積もりでは「顧客の最終要求仕様を満足するためにかかる開発費用をすべて積み上げる」ことがたいへん難しいことに注意してください。

顧客の要求仕様は、受注後に変わるかもしれません。そもそも、顧客の正確な要求仕様を受注前に聞き出せるかどうかもわかりません。またベンダーが、顧客の要求仕様を正しく理解できずに見積もった開発項目に漏れがあったということもよくあります。

見積もりが開発項目の積み上げ方式であるため、開発が始まってからもともと想定した開発項目がなくなることはまずありません。たいていは、仕様変更によって追加の作業が発生します。その追加費用を顧客から請求できれば良いのですが、見積もりの落ち度がベンダーにある場合は難しいです。そのようにして、多くの場合ベンダーが利益を削りながら対応することになります。

また、複数ベンダーの競争が激しい分野の場合はシステムの価格競争に巻き込まれます。価格競争になると、ベンダーは生き残りをかけて利益を下げてでも受注を取りにいくようになります。

2つめは、システム開発のマネジメントの問題です。システム開発を続けるには、専門知識を持つ特定の個人や外注工数を多く必要とします。多くのシステム設計では、広い範囲の専門知識が必要になります。

すると、システム開発作業の多くが実質的に特定の個人や外注に丸投げになってしまいがちです。そうなると、利益が出て儲かるのはベンダーではなく特定の個人であったり外注になったりします。そのようにして、ベンダーの利益が減ってしまうのです。

システム開発の利益率を上げるには

次に、システム開発の利益率を上げる方策について考えてみましょう。

システム価格については、製造原価ベースの価格付けを見直す必要があります。その場合、システム導入作業をパッケージ化することが有効です。システム導入作業のパッケージ化とは、例えば他システムとの接続作業に戦略的な価格設定をしたり、導入するパソコンの台数に応じたライセンス費用をシステム価格見積りに計上したりといった方法があります。

システム導入作業をパッケージ化することで、製造原価にかかわらず利益を確保し価格競争の影響を受けにくくなります。

そして、顧客の要求仕様については受注前の見積もり精度を高めることが必須です。見積もり精度を上げて受注後の追加作業をゼロに近づければ、それだけベンダーの利益は確保できます。

一方、システム開発のマネジメントについては、専門家専門知識を持つ特定の個人や外注)に作業を丸投げしないことです。SEが、作業の一部を専門家に作業を丸投げすることで一時的に作業が楽になることがあるかもしれません。しかし、その代償は大きいことを肝に命じる必要があります。

SEが専門家の作業の一つ一つを全部理解する必要はありませんが、次にもし同じ作業案件が来たら自分でもできる程度の内容把握をしましょう。そうでないと、次に改造開発を行う案件があったときに専門家から高額な開発費用を請求されるかもしれないのです。

このように、システム開発の利益率を下げている理由はシステムの価格付けとシステム開発において個人や外注に依存してしまいがちなことにあります。各々の理由に対して正しい対処を行うことで、システム開発の利益を着実に上げることができるでしょう。