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コンピューターを使った情報システムは、システムの本稼働後に保守サービス期間に入ります。通常、保守サービスはそのシステムを最も良くわかっているシステム開発会社自身、もしくはその業務委託先の保守サービス会社が行います。

保守サービスを受けることによって、システムを安心して使うことができます。しかし、会社によってはサービス担当者がよく代わったり、サービス担当者によって対応できるサービス内容が変わる場合があります。このように担当者によってサービス内容に差が出てしまう理由は、どういったことが考えられるでしょうか。

ここでは、サービス担当者によって保守サービスに差が出てしまうことがある理由、ならびにサービス担当者によって保守サービスに差がある会社は問題であると考える理由について述べていきます。

ここで述べる内容を理解することで、良い保守サービス会社の見極めに役立てることができます。そして、あなたが担当するシステムに対して安心できる保守サービスを受けられるようになります。

システム保守サービスは専門家の連携が必須

保守サービスの基本的なサービス内容は、「システムが正常に動作しなくなったときに、元通りに復旧すること」です。システムはたいへん多くの構成要素から成り立っていますので、システムが正常に動作しなくなる原因はさまざまです。

そこで、保守サービスにおけるトラブルの原因は次の3つ「ハードウェア」「ソフトウェア」「システム」に分けて考えるのが一般的になっています。

原因がハードウェアにある場合、対応は比較的容易です。ハードウェアとは、サーバーコンピューターやパソコン・ネットワーク機器などの物理的な機器のことです。問題を起こしているハードウェアがわかれば、それを正しく動作する別のハードウェアに交換すれば直ります。

ソフトウェア保守とは、ソフトウェアの障害(バグ)修正になります。一部の例外を除き、ソフトウェアの障害はプログラムを修正すれば直ります。したがって、対応の難易度は中程度です。

システム保守は、「システムを長く使うにつれてデータが増えてパフォーマンスが低下した」「時々、何の前触れもなくシステムがダウンする。再現性が不明」といったようにハードウェア・ソフトウェアに切り分けにくい問題点への対応です。

パフォーマンスなどの非機能要求や再現性の乏しい問題については、確実な解決方法がありません。そのため、最も難易度が高い対応になります。

保守サービスは、このようにハードウェアからシステムまでの広範囲に渡る知識や経験が必要とされます。したがって、一人で全ての分野を網羅することはかなり困難であり、実際には個人としてはハードウェアやソフトウェアなど各自の専門分野にしぼって対応するようになります。

保守担当者の個人が専門性を持つこと自体に問題はありません。ところが、保守サービス担当者が自分の専門性の中に閉じこもってしまうと困ったことになります。

つまり保守担当者が、「自分はハードウェアがわかる。だからハードウェア障害は直せるけれども、ソフトウェアやシステムはわからないからやらない」「自分はソフトウェア障害には対応するけれども、ほかのことはやらない」となってしまうと問題です。

各自が専門性を持ち、専門外の問題が起きたらその分野の専門性を持つ人に速やかにエスカレーション(業務移行)するという柔軟な姿勢が求められるのです。要するに、システムの保守サービスは専門家の間でうまく連携できるかが鍵となります。

サービス担当者によって保守サービスに差が出る理由

このように、保守サービス担当者が自分の専門性の中に閉じこもってしまうことは実際によくあります。もしこのような状態を会社が放置すれば、一年も経たないうちに、システム保守会社のサービス内容は担当者によってまちまちになってしまうでしょう。個人ができることとできないことに差があるからです。

このようなとき、保守会社は何をすれば良いのでしょうか。その答えは、エンジニアの上司がエンジニアの作業量をコントロールし、現場作業で得た情報を社内に共有したり組織のプロセス資産を残したりすることです。

システム保守会社では、部下の労務管理(勤怠状況など)しかしないで作業を現場任せにする上司が多いです。しかし、このようなことを続けていては必ずその会社のサービスレベルに悪影響が出ます。

すなわち、サービス担当者によって保守サービスに差が出るのは、保守会社の社員のマネジメントに問題があると考えられるのです。

サービスマンが担当サイトの保守サービス内容を知らないこともある

保守サービス担当者が、システム開発担当者とは別の人になる場合、システム保守期間の開始時に担当者間で保守引き継ぎを行います。

その場合、引き継ぎの終わった時点でシステム保守担当者がシステム保守を開始します。しかし、実際にトラブルが発生してシステム保守担当者に来てもらっても、担当システムのことを全く知らなかったり自分では何も解決できなかったりする人もいます。

その他、トラブルがなくてもシステムの定期点検があったとして、点検日の前日になって初めて担当サイトの点検内容を確認する人もいます。

情報システムを初めとするIT業界は、まだまだプロセスの標準化が進んでいないようです。そのため、作業の管理がずさんだったりいい加減な仕事をする会社が少なくありません。

システム保守を個人でなく保守会社に委託する理由は、「作業プロセスが標準化されていて担当者が不意に変わることがあっても一定のサービスレベルが保証されるから」であると考えられます。

逆に言えば、作業プロセスが標準化されていない会社には保守を委託する意味がありません。優秀なサービスマン個人に委託する方がよほど安く、高品質で安心できるサービスが受けられるのです。つまり、エンジニアの管理がずさんな保守会社は存在意義がないということになります。

このように、担当するエンジニアによって保守サービスに差があるシステム会社には要注意であると言えます。こうした会社は、作業が標準化されておらず保守引き継ぎもきちんと行われていないため一定のサービスレベルが保証されません。

担当エンジニアがシステムを良く知っている人であるうちはまだ良いのですが、エンジニアが代わった途端に誰もシステムのことが分からなくなって必要な保守サービスが受けられなくなることもあります。

あなたがシステム保守会社を選定する立場になったら、ここで述べたことを意識して良いシステム保守会社の見極めを行い、安心できる保守サービスを受けられるようにしましょう。