-shared-img-thumb-OMG151007469050_TP_V

システムエンジニア(SE)の仕事は、主に情報システムの「設計開発」「構築」「保守」になります。それでは、SEの能力はこれらの仕事の達成能力で測られるのかというと、少し違います。なぜなら、ごく小規模のシステムを除きこれらの仕事をすべて1人でこなすのは分量的にとうてい無理だからです。

そのため、SEの能力を測るには独特の尺度が必要になります。ここでは、SEの能力をどのような尺度で測ればよいかについてお話ししていきます。ここで述べる内容を理解することにより、あなたがSEの能力を正しく測る基準を持ち、SEの能力開発や指導、教育に生かすことができます。

SEの能力は、論理的思考力とマネジメント力で測れる

先に、SEはシステムの「設計開発」「構築」「保守」の仕事を行うと述べました。そして、これらの仕事はたいへん奥が深いです。その上コンピューターを使ったシステムは、現在も発展途上であり次々と新しい技術が生まれます。そのため、一人の人がこれらの仕事のすべてを習得するのはかなり困難です。

そこで、考え方を変えて「個々の仕事を極める」ではなく「仕事の極め方を身に付けている」という状態を目指したら良いのではないかと思うのです。それには、「論理的思考力」「マネジメント力」が必要になります。

システムは、コンピューターの中で動作します。そのため、システム開発の仕事を行うにはコンピューターの動作を理解しなければなりません。それには、論理的思考力が必要です。そして論理的思考力は、コンピューターの使用経験の有無にかかわらず身に付けることができるものです。

例えば、あるシステムユーザーのパソコンを立ち上げたところ画面が全く映らなかったとします。そのユーザーは自分の仕事が進められないと困るので、会社のシステム担当者を呼びました。そしてしばらくして、システム担当者がそのユーザーのところにやって来ました。

もし、このシステム担当者が論理的思考力を持っていない人だとすると、「とりあえず、モニターを新品に変えます」「これでだめなら、パソコンを新しいものに変えます。パソコンの中のデータは全部消去されます」といった回答をするでしょう。

システムのトラブルに対してこのように場当たり的な対応をしていると、なかなかトラブルの原因究明に至らなかったりユーザーに迷惑がかかったりします。

一方、論理的思考力のあるシステム担当者ならば「パソコンとモニターを接続するケーブルのコネクターに緩みがないか」「モニターの電源が入っているか」「パソコンの電源を入れた後、ファンが回りLEDが点滅しているか」といった情報を把握し、問題の原因を切り分けするでしょう。

このように考えることによって、早く原因究明に到達できてユーザーに迷惑をかけることなくシステムを復旧できるのです。

ただし、論理的思考力だけでは不十分でマネジメント力も必要です。例えば、新システムの構築プロジェクトを実施し顧客の要求仕様をすべて満足したシステムを完成させたとします。しかし、ユーザーがそれを使って運用を始めたときに運用に重要な機能が欠落していたとします。

ここでシステム担当者がマネジメント力のない人だとすると、「このシステムは、要求仕様通りです」「問題となっている部分は、システムの構築範囲外です」という回答をするだけになります。そうなると、ユーザーがシステムに不満を持つようになります

一方、システム担当者がマネジメント力を持っている人ならば「ご要望の機能は、システムの別の機能で実現可能です」「このような追加機能のご提案ができますので、ご検討ください」というようにユーザーに向いた回答ができるでしょう。

それどころか、本当にマネジメント力を持っている人がプロジェクトを行えば運用に重要な機能が欠落したまま稼働することはないでしょう業務に使うシステムは、ユーザーの運用を支援して初めて意味を持つものだからです。

相反する2つの能力のバランスを取る

上に述べた2つの能力は、少し突き詰めていくと相反するものに感じられることがわかります。例えば、構築中のシステムにある機能が欠落していることが分かったとします。「要求仕様通りに論理的に考えると、この機能は新規開発する必要がない」「しかし、機能がなければ運用ができない。システムの他の機能でも代替できない……」

このようなときに優秀なシステム担当者は、「論理的な思考」と「マネジメント的な思考」を駆使して新たな案を考えるでしょう。そして、システムの構築前には想像もしていなかったような新たな形で機能を構築し顧客の満足を得るのです。

つまり、システムを構築するには「論理的思考力とマネジメント力の一方に偏ってはだめ」な場合が多いです。両者の思考を一人の頭の中で駆使して併せのむ提案が必要になります。両者の思考にはそれぞれ利点があるため、それらのバランスを取ることが何よりも大切です。

このように、SEの能力の尺度としては「論理的思考力」「マネジメント力」が重要になります。システム構築の現場では、これらの能力を駆使してユーザーの要求に新たな提案を行う場面があります。このような場面に多く出くわすことによりSEの能力が高まりユーザーに満足してもらえるシステムを構築できるようになります。