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システムエンジニア(SE)といえば、一昔前まで「コンピューター技術に詳しいけれども、コミュニケーション能力がない人」が多かったように思います。しかし、最近ではコミュニケーション能力の重要性がクローズアップされるようになりました。

「SEには、コミュニケーション能力が必須である」とも言われています。確かに、その通りだと思います。そして、最近はひところに比べコミュニケーション能力の高いSEが増えました。しかし、この言葉だけが一人歩きするのは実は危険なのです。

ここでは、コミュニケーション能力が高いだけのSEには注意しなければならない理由についてお話ししていきます。ここで述べる内容を理解することにより、口先だけのSEに当たってもだまされないスキルが身につきます。さらに、本物の技術的スキルを持つSEの見極めに役立てることができます。

コミュニケーション能力が高いだけではシステムを作れない

SEの仕事は、システムに対するお客様の要望を取りまとめて新たなシステムを設計し、構築することです。そのためSEは、必然的に「現場のお客様」「システム導入を判断する管理部門のお客様」「開発の担当者」「連携先の他システムの担当者」…などさまざまな人を相手にすることになります。

そして、多くの人を相手にするということはそこに利害関係が生まれます。そこには、いわゆる「交渉」や「折衝」といったことを行う場面もあります。そこで、当然のようにSEにはコミュニケーション能力が必要になります。すなわち、「SEには、コミュニケーション能力が必須である」は正しいのです。

しかし考えてみればわかるように、コミュニケーション能力はすべてのビジネスマンにとって必要なスキルです。SEに特化した話ではありません。それでは、「SEには、他の業種に比べて極めて高いコミュニケーション能力が必要である」といえるかというと、そうでもないと思います。

その一方、「他の業種に比べてSEが極めて高いスキルを持つべき分野は何か」と言えばやはり「システムを設計できる技術力」となります。この、当然ともいえるスキルを軽視してはいけません。技術力がなければ、お客様といくら円滑にコミュニケーションを取っても正しく動作するシステムは作れないのです。

したがって、「コミュニケーション能力は、SEに要求されるスキルセットの一つにすぎない」と考えた方が良いでしょう。SEが技術力の向上だけを目指すことは良くありませんが、コミュニケーション能力の向上だけを目指すのも同じく良くありません。ビジネスマンとしてのさまざまなスキルのバランスが重要だと思います。

SEが、なぜコミュニケーションを取ろうとするのか理由を考える

それでは、「コミュニケーション能力が高いだけのSEは、要注意である」と考える理由を説明します。システムを構築するために色々な打ち合わせを行ってきたものの、「実現が難しい」と思われる課題が出たとします。

「実現が難しい」とは、「技術的に実現困難」であったり「実現するには追加費用が発生する」であったりします。このような時、コミュニケーション能力が高いだけのSEはなるべく課題に対応しないで済む方向に話を持って行こうとするものです。

課題が、本当に技術的に実現困難なのであればそうなっても仕方がないかもしれません。しかしそうではなく、技術的に深く検討することなくやらないという結論を急ごうとするのが問題なのです。一見、実現困難な課題に見えても技術的に高いスキルを有したSEであれば実現できるかもしれません。

コミュニケーション能力が高いSEにとっては、「自分たちの仕事をなるべく減らした方が利益が出る」ということなのでしょう。しかしそれは、「SEとしての技術的スキルが低い」ことの裏返しでもあります。

すなわち、コミュニケーション能力が高いSEは自分たちの仕事を減らそうとして相手にコミュニケーションを取ってくるケースがあると考えられるのです。他にも、「饒舌なSE」、「他人に対して要求や注文の多いSE」には気をつけた方が良いでしょう。

そのような口先だけのSEにだまされないようにするには、どうしたらよいでしょうか。それには、SEの話を聞いてその話が筋の通ったものになっているかを確認していくことです。SEの話で少しでもわからないところがあれば、もっと詳しく説明してもらうようにしましょう。

そうした確認を繰り返し行うことで、最終的にはそのSEの話が技術的に裏付けのあるものかどうかを判断することができます。

これまで述べたように、SEには高いコミュニケーション能力が必要です。しかし、SEの本来の仕事はシステムの設計と構築です。コミュニケーション能力は、SEがそのような本来の仕事を円滑に行うためのスキルセットの一つにすぎないと考えた方が良いでしょう。