-shared-img-thumb-0I9A100015030106yubi_TP_V情報システムを構築する作業のことを、「エンジニアリング」といいます。エンジニアリングには、時間もお金もかかります。そのため、エンジニアリングのコストを削減する目的で「エンジニアリングのアウトソース」が行われる場合があります。

エンジニアリングのアウトソースとは、「エンジニアリングのあるひとかたまりの作業(ワーク)を、協力会社など社外の業者に作業委託すること」です。契約の形態は、作業時間で費用が変動せず、費用が固定となる「請負契約」が多く使われます。

ここでは、エンジニアリングのアウトソースを行う場合のメリットやデメリットについてお話していきます。ここで述べる内容を理解することにより、エンジニアリングのアウトソースを検討する際に、現場の実情と経営的観点から見た合理的な判断を行うことができるようになります。

エンジニアリングをアウトソースするメリット

エンジニアリングのアウトソースのメリットは、第一にコスト削減が挙げられます。ただしコスト削減の効果は、次の条件がそろったときに初めて出るものと考えてください。

  • アウトソース先が、委託作業に対して十分なスキル・業務知識を有すること
  • 請負を依頼する側が、作業手順を標準化していること

アウトソース先が委託作業を熟知していない場合、見積もりのときにその習得に要する時間をリスク込みで過大に見積もってくるかもしれません。また、見積もりが適正だったとしてもアウトソース先がスキルを持っていなければ予定通りに作業を進めることができません。

そのため、アウトソースを行うときはその会社の実績や強み・弱みをよく知っておく必要があります。

一方、請負を依頼する側(発注元)として、委託作業の手順が標準化されていることが必須です。作業手順が標準化されていない場合、アウトソース先は作業をどこから始めたら良いかさえわからなくなってしまいます。

作業を標準化するための検討項目は、「勤務時間・場所」「作業項目(タスク)」「スケジュール」「報告の頻度・内容」「成果物」などが挙げられます。これらの項目を標準化することによって、アウトソース先がスムーズに作業を始めることができます。

アウトソースするメリットは、他にもあります。あるプロジェクトにおけるエンジニアリング作業を行おうとしたときに、自社で要員を確保したり人員育成を行ったりしなくても、容易に作業を確保することができます。

特に、エンジニアリング作業が難しいものだったりハイリスク(事前に作業工数が読めず、追加作業が発生する公算が大きい)なものだったりした場合、アウトソースのメリットが生きることになります。

アウトソースのメリットがコスト削減にあるのは否めませんが、だからといって「下請けたたき」のように金額をたたいて下げるようなことをしてはいけません。金額をたたいて安くした場合、アウトソース先は成果物に現れない部分で手抜きをしてくるかもしれないのです。

アウトソース先もビジネスでやっているのですから、このような手抜きが出ても不思議ではありません。その手抜きの部分があとで問題になり、発注元のプロパー社員が後始末に追われることもあります。

また金額をたたくことによって、アウトソース先が自社にメリットがないと判断した場合、以後のアウトソースから手を引くという判断をしてくるかもしれないのです。このようなことは、実際によくあります。

エンジニアリングをアウトソースした場合のデメリット

エンジニアリングをアウトソースした場合のデメリットは、次のようなものです。

  • アウトソース先社員を管理する手間がかかる
  • 作業のノウハウが発注元企業に蓄積されない恐れがある
  • アウトソース契約が終了後、現場の社員に作業引き継ぎをするのが難しくなる

アウトソース先社員の管理の手間は、ばかになりません。アウトソース先に渡す作業手順書に不備があれば、その不備は発注元に返ってきます。発注元の現場としては、「自分たちでやった方が早かったのに」と思うこともあるでしょう。

また、エンジニアリングには現場のみが持つような「ノウハウ」があります。現場のノウハウは、コンピューターを操作する技術的なものから、エンドユーザーとの対人関係構築のスキルといったものまで、多岐にわたります。

そのようなノウハウがアウトソース先のみに蓄積されてしまうと、発注元のスキルはいつまでたっても向上しないことになります。また、「エンジニアリングの作業品質がアウトソース先に依存してしまう」という厄介な問題も起こります。

このような問題を起こさないためにも、発注元はアウトソース先とこまめに連絡を取り、自社のノウハウ獲得に努めなければなりません。また、日頃から連絡を取り合っていればアウトソース契約終了後の作業引き継ぎもスムーズに行くはずです。

このように、エンジニアリングのアウトソースにはメリットとデメリットがあります。アウトソース先が十分なスキルを有しており、アウトソースの作業手順が標準化されていれば、アウトソースのメリットが生きてきます。発注元とアウトソース先で、お互いにビジネスのメリットを感じられるような施策にしていくことがとても重要になります。