情報システムの開発は、人と人との共同作業を通じて行われます。また、情報システムはパッケージソフトウェアと違って、ユーザーや施設、業界によって、実現する機能がそれぞれ異なるものになります。

そのため、成果物としての情報システムに対して、客観的な良し悪しを測る指標が必要になります。

良い情報システムを作る能力のあるベンダーを見極め、選定することがビジネスでは必須です。ここでは、良い情報システムとはどういうものか、あるいは悪いシステムとはどういうものかについて、その見極め方について考えていきます。

情報システムを導入したのに、ユーザーからクレームが来るのはなぜか

あなたは、良い情報システムとはどのようなものであると考えますか? すぐに思いつきそうなのは、以下のようなものがあります。

  • 使える機能が多い
  • 反応が速く、もたつかない
  • 機能が使いやすい
  • 価格が安い
  • 画面のデザインが良い
  • 不具合・故障が少ない
  • 開発者の技術力が高い
  • 最新の技術にいち早く対応している
  • 拡張性が高い
  • 信頼できるシステムベンダーが開発している

これらの項目は、いずれも、良い情報システムが備えるべき特徴であり、正しいと考えられます。

仮に、あなたがこれらの項目を満足するよう、綿密に検討を加えた上で情報システムを開発し、多くの困難を乗り越えた末、無事に稼働を迎えたとします。

ただ、稼働後しばらくして、あるユーザーから「こんなシステムを作ったのは、誰だ!私たちの業務を全くわかってない人が作ったんじゃないのか」とあなたのところにクレームが来たとしたら、あなたはどう思われるでしょうか。

実際のところ、こうしたことはよくあります。それでは、情報システム開発のやり方に、何か問題があったのでしょうか。

情報システム開発で最も重要なことを理解する

実は、情報システムの開発において、常に意識しなければならない重要事項があります。それは、「システムの機能がユーザーの業務・運用とマッチングしているかを確認すること」です。すなわち、良い情報システムとは「ユーザーが実際に仕事を行うときの作業とのマッチングが最適に取れたシステム」であると言えます。

良い情報システムを開発すれば、使用者(ユーザー)の施設での業務効率が向上し、ユーザーからも喜ばれます。

反対に、悪い情報システムとは、ユーザーの業務、運用とマッチングが取れていないシステムです。

悪い情報システムを作ってしまった場合、その後は悲惨なことになります。業務効率の停滞や悪化、変更要求に伴う改造費用の増大、ユーザーのクレーム対応が増えて他の業務に手が回らなくなるなど、その損害は取り返しのつかないものになります。

最悪、情報システムを再度作り直すしか手がなくなるのです。

情報システムの判断基準としてふさわしくないもの

情報システムの見極めにおいて、機能の多さや、最新の流行りの技術を使っているかどうかで決める人がいます。ただ、そのやり方は間違っています。そもそもユーザーは、多くの機能を使わないかもしれません。また、最新の流行りの技術が、あなたの環境で有効に機能するとは限りません。

仮に、機能が少し不足していたり、使いにくさを感じるものだったりした場合があるとします。ただ、このときはユーザーに説明して操作に慣れてもらうなど、運用でカバーできて他に支障が出ないなら、大きな問題になりません。

不具合・故障は、少ないに越したことはありません。しかし、今日の情報システムは、大変複雑化しています。ソフトウェアとしての情報システムには、必ず何らかの不具合が含まれていると考えなければなりません

実際のところ、情報システムには多くの不具合が内在しており、そのうち表面化したものだけが問題になると考えてください。情報システムには必ず不具合が含まれている前提で、不具合が発覚した場合にその対応や修正がどのように行われるかが重要です。

また、サーバーやクライアントパソコンの故障についても、どうしても一定の確率で起こることが避けられません。故障が少ないことよりも、情報システムの不具合への対応と同じく、故障が起きたときの対応や復旧が、どのように行われるかの方が重要です。

このように、良い情報システムとはどういうものかを正しく理解することにより、開発を委託するベンダー(企業)の開発能力の見極めを正しく行えるようになります。そうして、開発の正しい進め方への理解を深めることができます。