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情報システム開発における要求仕様書とは、そのシステムに要求される機能要件について書かれたものをいいます。要求仕様書は、ユーザー(情報システムを使う人たち)およびシステム開発を請け負うシステム開発会社が、システムに要求される機能を共有するために重要な文書です。

なお、競争入札となる案件については要求仕様書のことを「入札仕様書」と表現する場合もあります。これらの役割は、どれも同じです。

ハードウェア仕様と装置間の接続を詳細に記述する

要求仕様書には、システム開発会社が納入するサーバーやクライアントパソコンといった機器の種別・数量・設置場所・設置工事の有無について記載します。

機器の種別や数量は、誰でも注意を払うものです。当然、間違いのないように記述しなければなりません。パソコンの付属品がある場合は、それも記述します。パソコンの付属品とは、カードリーダーやバーコードリーダー、タブレットといった入力デバイスやプリンターなど、パソコンとともに使用する物品です。

機器の設置場所は、情報システムを導入する会社にとって重要な情報です。機器が現地搬入され、いざ設置するという段階になって機器の設置場所がないということのないようにするべきです。実際の現場では、このようなことがよく起きています。設置のために、机などの備品が必要になることもあります。

施設の新築などで設置場所が未定だったり、設置場所に複数の候補があり一つに絞れなかったりする場合でも、設置の意思決定に関する責任部署や候補までを含めて記述します。

パソコンやモニターなど電気機器の動作には、電源が必要です。電源敷設のために新たな工事が必要かどうか、確認しておきます。設置工事が必要な機器、例えば壁掛けの大型モニターがある場合は、その設置用部品や機器接続用のケーブルを通すための貫通工事なども必要になってきます。

そういった設置用部品や関連する工事の有無についても、忘れずに記述します。

コンピューターなどの機器同士の接続情報についても記述します。サーバーとクライアントパソコンの間は、ネットワークスイッチやルーターといったネットワーク機器を経由して接続します。ネットワークの設計は、施設のポリシーによって要求機能が大きく異なってきます。

ネットワーク設計については、専門のインフラストラクチャー(インフラ)整備担当者がいる場合もあります。そのような場合、インフラ整備担当者と話をして、必要なネットワーク機器を決定します。

要求仕様書には、その回答となる提案書に記載すべき回答事項についても記述します。サーバーコンピューターを要求仕様書によって調達する場合、その回答事項の中には、サーバーの稼働中の発熱量を含める必要があります。

コンピューターが稼働している間は、機器自体の発熱にともなって周囲温度が上昇します。サーバーを設置するサーバー室では、大量のサーバーが基本的に24時間フル稼働しますので、発熱対策が必須です。

一般に、コンピューターなどの精密機器の動作を安定させ長く使っていくためには、サーバー室内温度を25℃以下に保つのが良いとされています。通常、サーバー室内の温度をコントロールするにはエアコンやファンなどの空調設備を設置します。

サーバー室の空調にどのくらいの冷却能力が必要か判断するために、機器の発熱量の情報が重要になります。

ソフトウェアの機能記述は、過去の資産やひな形を利用する

要求仕様書には、ソフトウェアの機能についても記述します。しかし、一般にソフトウェアの機能は大変複雑なため、要求されるすべての機能を文章で一から書ける人は、まずいないと思います。そこで、割り切って考えることが必要です。

そこで、過去の情報システム開発における会社内の資産を調査する方法があります。または、候補となるシステム開発会社に依頼し、ソフトウェア機能記述のひな形を入手するようにします

ここでの資産やひな形は、当然そのままでは使えません。しかしそれでも、ソフトウェア機能を記述するための参考資料になります。

ソフトウェア機能は、その粒度(粗い記述か細かい記述かの度合い)によって、同じ機能について書くのでも、表現がだいぶ異なってきます。資産やひな形の粒度に合わせて記述するようにします。

記述に、抜け漏れなくダブリがないようにする

要求仕様書が一通り完成したら、要求仕様の記述に抜け漏れがないか、ダブリがないかどうかをチェックします

記述に抜け漏れがあった場合、システム機能の欠落につながります。その欠落のために、せっかくのシステムが使用する人の満足を得られなくなることもあります。記述の抜け漏れを防止するには、注意深くチェックを行うしかないと思います。

一方、ダブリというのは、同じ内容のことを複数の箇所で記述してしまうことです。要求仕様書の記述にダブリがあった場合、読み手はその部分の解釈に苦労します。一つの記述が、別の部分での同じ記述とどのような関係にあるのか理解に苦しむことになります。

ひな形を使って要求仕様書を作成すると、よくこのようなことが起こりますので注意が必要です。

また、ダブリがある要求仕様書を改訂していくときによくあるのは、一部分を修正して他の部分を修正し忘れてしまうことです。そうなると、改訂に伴いだんだんと文書が整合性を保てなくなることにもつながります。

抜け漏れダブリをなくすためには、要求仕様書の草案を第三者含めて複数人でチェックしていくのが良いと思います。

このように、要求仕様書は将来のシステムの完成形をイメージしながら過去の会社の資産やひな形を上手に利用して作ることが大切です。また、読み手のために抜け漏れダブリのない要求仕様書を作成するよう心がけてください。